ITIL(Information Technology Infrastructure Library)

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ITサービスの運用でうまくいったやり方を、手引書としてまとめた書籍群。規格ではない。

もう少し詳しい説明

ITIL は、ITサービスの運用について「こうするとうまくいく」というやり方を、体系的にまとめた手引書の集まりです。

法律でも規格でもない

いちばん押さえるべき点です。ITILは、守らないと罰せられる決まりではありません。

多くの組織が積み上げた経験のうち、成果が出たやり方を書籍として集めたもの——ベストプラクティス集と呼ばれます。

まとめる条件の形にする日本語版現場でうまくいったやり方多くの組織が積み上げた経験ITILそれを書籍にまとめた手引書。強制力はないISO/IEC 20000満たすべき要求事項を定めた国際規格。組織が認証を受けられるJIS Q 20000ISO/IEC 20000 の日本語版(日本産業規格)
ITILは「こうするとうまくいった」というやり方を書籍にまとめたもので、守らないと罰せられる決まりではありません。同じ考え方を「満たすべき条件」の形にして、組織が認証を受けられるようにしたのがISO/IEC 20000です。手引書と規格の違いが、そのまま試験で問われます。

ここを取り違えると、次の区別が解けません。

何か認証
ITIL手引書(ベストプラクティス集)個人が資格を取る
ISO/IEC 20000国際規格。満たすべき要求事項を定めている組織が認証を受けられる
JIS Q 20000ISO/IEC 20000 の日本語版(日本産業規格)同上

ITILは「やり方の例」、ISO/IEC 20000は「満たすべき条件」。 両者は対立するものではなく、ITILのやり方を参考にしながら規格の条件を満たす、という使い方をします。

生い立ちと版

英国政府の機関(CCTA)が1980年代に作り始め、1989年に公開されました。その後、管理する組織が移り、2021年からは PeopleCert が権利を持っています。

版時期主な変化
ITIL v32007年サービスライフサイクル(5段階)が中心
ITIL 42019年「プロセス」から**「プラクティス」**へ
ITIL 52026年1月最新版。試験への反映はこれから

試験では、版そのものより中身が問われます。 ただし1つ注意があります。ITIL 4 で**「変更管理」は「変更実現(change enablement)」に呼び名が変わりました**。試験や参考書では従来の「変更管理」で書かれていることが多いので、同じものを指していると知っておけば混乱しません。

何が書かれているか

運用の現場で起きることを、役割ごとに分けて整理しています。試験で問われるのは、主にこの4つの区別です。

収まってから対策案を出す承認されたらインシデント管理まず直す。原因は分からなくてよい問題管理原因を突き止め、再発を防ぐ変更管理その直し方を実施してよいか判断するリリース管理承認された変更を本番へ展開する
1つの障害を、4つの担当が順に引き継いでいきます。並び順よりも、それぞれの目的が違うことが大事です。とくに「早く直す」インシデント管理と「原因を断つ」問題管理を分けている点が、試験でいちばん問われます。

順に並んでいますが、それぞれ目的が違います。

目的
インシデント管理とにかく早く直す。原因が分からなくてもよい
問題管理原因を突き止め、再発を防ぐ
変更管理その直し方を実施してよいか判断する
リリース管理承認された変更を本番へ展開する

「早く直す」と「原因を調べる」を分けているのが、考え方の要点です。原因調査を待っていたら、利用者はいつまでも使えません。だから、先に動かす担当と、あとから原因を追う担当を分けます。

覚え方:救急と、原因究明

病院に置き換えると通ります。

救急外来で「原因が分かるまで治療しません」とは言わない。 これが、インシデント管理と問題管理を分ける理由です。

試験ではこう出る

科目A(旧・午前)のサービスマネジメント分野で出ます。多いのは、ITILの位置づけ(手引書か、規格か)を問う問題と、4つの管理の目的を取り違えさせる問題です。ITパスポートでは用語の意味を直接問う形、応用情報ではSLA(エスエルエー)や稼働率の計算と組み合わせて出ます。

判断の軸は2つです。ITILは手引書で、組織が認証を受けるのはISO/IEC 20000(JIS Q 20000)のほう。 そして、インシデント管理の目的は復旧であって原因究明ではない。 選択肢に「ITILの認証を組織が取得する」とあれば誤り、「インシデント管理で根本原因を究明する」とあれば誤りです。

関連する用語

インシデント管理
止まったサービスを早く元に戻す活動。ITILの代表的なプラクティスのひとつ
問題管理
インシデントの原因を突き止め、再発を防ぐ活動
変更管理
変更の影響を評価し、実施してよいかを判断する活動
SLA
サービスの品質水準を数値で取り決めた合意。ITILが扱う中心的な文書のひとつ
サービスデスク
利用者からの問い合わせや障害連絡を、一元的に受け付ける窓口
ISO/IEC 20000
ITサービスマネジメントの国際規格。組織が認証を受けられる。日本語版がJIS Q 20000

ミニクイズ

ITILの説明として、最も適切なものはどれか。

正解は 2番:ITサービスの運用について、うまくいったやり方を体系的にまとめた手引書の集まり

ITILは、多くの組織で成果が出た運用のやり方を書籍としてまとめたもので、ベストプラクティス集と呼ばれます。守らなければ罰せられるという性質の決まりではありません。「満たすべき要求事項を定めた国際規格」はISO/IEC 20000(日本語版はJIS Q 20000)で、こちらは組織が認証を受けられます。ITILとの違いがそのまま問われます。「品質水準を数値で取り決めた合意文書」はSLAで、ITILが扱う対象のひとつにすぎません。「上流から下流へ順番に進める開発モデル」はウォータフォールモデルで、開発の進め方の話であり、サービスの運用の話ではありません。

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最終更新:2026-09-25