インシデント管理(incident management)
- マネジメント系
- サービスマネジメント
- ITパスポート
- 基本情報
- 応用情報
- 重要度 ★★★★☆
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止まったサービスを、できるだけ早く通常の状態へ戻す活動。原因究明は目的ではない。
もう少し詳しい説明
インシデント管理は、止まったサービスを、できるだけ早く通常の状態へ戻す活動です。
「インシデント」とは何か
サービスの品質を下げる、または下げるおそれのある出来事すべてを指します。完全に止まった場合だけではありません。
- システムが落ちて使えない
- 動いてはいるが、異常に遅い
- 印刷はできるが、文字が欠ける
利用者が「いつもと違う」と感じたら、それはインシデントです。
目的は復旧。原因究明ではない
ここが、この分野でいちばん狙われます。
インシデント管理の担当は、原因が分からなくても構いません。再起動で直るなら再起動でよいし、別の機械に切り替えて使えるようにするのでもよい。こうした**その場しのぎの手当てを「回避策(ワークアラウンド)」**と呼びます。
なぜそれでよいのか。利用者は、原因を知りたいのではなく、使いたいからです。原因調査を待っているあいだ、業務は止まり続けます。
そのかわり、原因を追う役目は別に用意されています。それが問題管理です。
流れ
- 受け付ける … サービスデスクが窓口になる
- 記録する … いつ、何が、誰に起きたかを残す
- 分類し、優先順位を付ける … 影響の大きさと緊急度で決める
- 切り分ける … どこがおかしいかを絞る
- 復旧させる … 回避策でもよい
- 確認して終了する … 利用者が使える状態に戻ったかを確かめる
2の「記録する」を飛ばさないのが実務の要点です。記録がなければ、問題管理があとから原因を追えません。「同じ障害が月に5件起きている」と気づけるのは、記録があるときだけです。
優先順位の決め方
すべてを同時には直せないので、順番を付けます。
| 意味 | |
|---|---|
| 影響度 | どれだけ広い範囲が困るか(全社か、1人か) |
| 緊急度 | どれだけ急ぐか(締切が今日か、来月か) |
この2つを掛け合わせて優先度を決めます。「声の大きい人から対応する」ではない、というのが、試験でも実務でも要点です。
覚え方:消防
消防に置き換えると通ります。
- 消防の仕事は、火を消すこと。放火犯を捕まえることではない
- 出火原因が分からなくても、消すのが先
- 原因を調べて再発を防ぐのは、別の仕事(火災調査)
「原因が分かるまで消火しません」とは言わない。 インシデント管理も同じです。
試験ではこう出る
科目A(旧・午前)のサービスマネジメント分野で頻出です。多いのは、インシデント管理の目的を選ばせる問題と、問題管理との違いを問う問題です。ITパスポートでは言葉の意味そのもの、応用情報では優先度の決め方や、SLAの復旧時間と結び付けた形で出ます。
判断の軸は1つです。インシデント管理は「早く戻す」、問題管理は「原因を断つ」。 選択肢に「根本原因を究明する」「再発を防止する」とあれば、それは問題管理の説明です。逆に「回避策を使って暫定的に復旧させる」とあれば、インシデント管理として正しい対応です。
関連する用語
- 問題管理
- インシデントの原因を突き止め、再発を防ぐ活動。インシデント管理が終わったあとを担当する
- 変更管理
- 変更の影響を評価し、実施してよいかを判断する活動
- サービスデスク
- 利用者からの問い合わせや障害連絡を、一元的に受け付ける窓口。インシデントの入口になる
- SLA
- サービスの品質水準を数値で取り決めた合意。復旧時間の目標はここに書かれる
- ITIL
- ITサービスの運用でうまくいったやり方をまとめた手引書の集まり
- 回避策(ワークアラウンド)
- 根本原因を取り除かずに、使える状態へ戻す暫定的な手当て
ミニクイズ
ITサービスマネジメントにおけるインシデント管理の目的として、最も適切なものはどれか。
正解は 4番:サービスをできるだけ早く通常の状態へ回復させること
インシデント管理の目的は、利用者への影響をできるだけ小さくするため、サービスを早く元の状態へ戻すことです。原因が分からなくても、回避策で使える状態に戻せばその役目は果たしています。「根本原因を究明し、再発を防止する」のは問題管理の目的で、インシデントが収まったあとに行います。この2つの取り違えが、この分野でもっともよく狙われます。「変更の影響を評価し、承認または却下する」のは変更管理です。「品質水準を数値で取り決める」のはSLAで、活動ではなく合意そのものを指します。
最終更新:2026-09-25