インシデント管理(incident management)

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止まったサービスを、できるだけ早く通常の状態へ戻す活動。原因究明は目的ではない。

もう少し詳しい説明

インシデント管理は、止まったサービスを、できるだけ早く通常の状態へ戻す活動です。

「インシデント」とは何か

サービスの品質を下げる、または下げるおそれのある出来事すべてを指します。完全に止まった場合だけではありません。

利用者が「いつもと違う」と感じたら、それはインシデントです。

目的は復旧。原因究明ではない

ここが、この分野でいちばん狙われます。

インシデント管理発生・検知切り分け復旧(回避策でもよい)問題管理この間は手を出さない原因の調査恒久対策の検討
左から右へ時間が流れています。上の帯が終わるところから、下の帯が始まります。インシデント管理は「使える状態に戻す」までが役目で、原因の調査には踏み込みません。問題管理は、利用者が使えるようになってから原因を追い始めます。

インシデント管理の担当は、原因が分からなくても構いません。再起動で直るなら再起動でよいし、別の機械に切り替えて使えるようにするのでもよい。こうした**その場しのぎの手当てを「回避策(ワークアラウンド)」**と呼びます。

なぜそれでよいのか。利用者は、原因を知りたいのではなく、使いたいからです。原因調査を待っているあいだ、業務は止まり続けます。

そのかわり、原因を追う役目は別に用意されています。それが問題管理です。

流れ

  1. 受け付ける … サービスデスクが窓口になる
  2. 記録する … いつ、何が、誰に起きたかを残す
  3. 分類し、優先順位を付ける … 影響の大きさと緊急度で決める
  4. 切り分ける … どこがおかしいかを絞る
  5. 復旧させる … 回避策でもよい
  6. 確認して終了する … 利用者が使える状態に戻ったかを確かめる

2の「記録する」を飛ばさないのが実務の要点です。記録がなければ、問題管理があとから原因を追えません。「同じ障害が月に5件起きている」と気づけるのは、記録があるときだけです。

優先順位の決め方

すべてを同時には直せないので、順番を付けます。

意味
影響度どれだけ広い範囲が困るか(全社か、1人か)
緊急度どれだけ急ぐか(締切が今日か、来月か)

この2つを掛け合わせて優先度を決めます。「声の大きい人から対応する」ではない、というのが、試験でも実務でも要点です。

覚え方:消防

消防に置き換えると通ります。

「原因が分かるまで消火しません」とは言わない。 インシデント管理も同じです。

試験ではこう出る

科目A(旧・午前)のサービスマネジメント分野で頻出です。多いのは、インシデント管理の目的を選ばせる問題と、問題管理との違いを問う問題です。ITパスポートでは言葉の意味そのもの、応用情報では優先度の決め方や、SLA(エスエルエー)の復旧時間と結び付けた形で出ます。

判断の軸は1つです。インシデント管理は「早く戻す」、問題管理は「原因を断つ」。 選択肢に「根本原因を究明する」「再発を防止する」とあれば、それは問題管理の説明です。逆に「回避策を使って暫定的に復旧させる」とあれば、インシデント管理として正しい対応です。

関連する用語

問題管理
インシデントの原因を突き止め、再発を防ぐ活動。インシデント管理が終わったあとを担当する
変更管理
変更の影響を評価し、実施してよいかを判断する活動
サービスデスク
利用者からの問い合わせや障害連絡を、一元的に受け付ける窓口。インシデントの入口になる
SLA
サービスの品質水準を数値で取り決めた合意。復旧時間の目標はここに書かれる
ITIL
ITサービスの運用でうまくいったやり方をまとめた手引書の集まり
回避策(ワークアラウンド)
根本原因を取り除かずに、使える状態へ戻す暫定的な手当て

ミニクイズ

ITサービスマネジメントにおけるインシデント管理の目的として、最も適切なものはどれか。

正解は 4番:サービスをできるだけ早く通常の状態へ回復させること

インシデント管理の目的は、利用者への影響をできるだけ小さくするため、サービスを早く元の状態へ戻すことです。原因が分からなくても、回避策で使える状態に戻せばその役目は果たしています。「根本原因を究明し、再発を防止する」のは問題管理の目的で、インシデントが収まったあとに行います。この2つの取り違えが、この分野でもっともよく狙われます。「変更の影響を評価し、承認または却下する」のは変更管理です。「品質水準を数値で取り決める」のはSLAで、活動ではなく合意そのものを指します。

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最終更新:2026-09-25