著作権法(copyright law)
- ストラテジ系
- 法務
- ITパスポート
- 基本情報
- 応用情報
- 重要度 ★★★★☆
創作的に表現されたものを保護する法律。プログラムも著作物として保護される。
もう少し詳しい説明
著作権法は、創作的に表現されたものを保護する法律です。
守られるのは「表現したもの」であって、考え方そのものではありません。この一線が、試験で問われることのほとんどを決めています。
プログラムは著作物
プログラムは、著作権法で著作物の1つとして明記されています。書いたソースコードは、それだけで保護の対象になります。
一方で、保護されないものも条文にはっきり書かれています。
| 保護されないもの | 中身 |
|---|---|
| アルゴリズム(解法) | 問題の解き方そのもの |
| プログラム言語 | 文法や語の使い方 |
| 規約 | 決まりごと。通信プロトコルなど |
理由は単純で、これらを1社が独占すると、誰も同じことができなくなるからです。並べ替えの手順を独占されたら、他の人は並べ替えを書けません。
「解法・言語・規約」の3つが対象外、という形で覚えるとそのまま解けます。技術的なアイデアのほうを守りたいときは、著作権ではなく特許の話になります。
届け出はいらない
著作権は、創作した時点で自動的に発生します。登録も申請も要りません。これを無方式主義と呼びます。
本や写真に付いている ©(マルシー)は、copyright の頭文字 C を丸で囲んだ記号で、「これには著作権があります」と示す表示です。昔は国によってこの表示がないと権利が守られないこともありましたが、日本では付けても付けなくても権利は変わりません。付いていないから自由に使える、ということにはなりません。
ここが産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)との大きな違いです。
| 著作権 | 産業財産権 | |
|---|---|---|
| 発生 | 創作した時点で自動的に | 出願して登録されてから |
| 守るもの | 表現 | アイデア・技術・標識 |
| 期間の例 | 著作者の死後70年 | 特許は出願から20年 |
「著作権を得るには登録が必要」と書かれた選択肢は、それだけで誤りだと判断できます。
保護期間は原則が「著作者の死後70年」ですが、**会社などの団体名義の著作物は「公表後70年」**です。死亡の日が決まらないためで、次に出てくる職務著作はこちらにあたります。
譲れない権利がある
著作権は、大きく2つに分かれます。
- 著作権(財産権) … 複製・公衆送信などの権利。譲渡できる
- 著作者人格権 … 公表権・氏名表示権・同一性保持権。譲渡できない
同一性保持権は、意に反して内容を書き換えられない権利です。財産としての著作権をすべて譲り渡しても、人格権は著作者本人に残ります。
契約書で「著作権を譲渡する」と書いても人格権は移らないため、実務では「著作者人格権を行使しない」という約束を別に置くことがあります。人格権は譲渡できないという点は、そのまま問われます。
誰のものになるのか
ここが実務にも直結する、いちばん間違えやすいところです。
| 作られ方 | 著作者になるのは |
|---|---|
| 従業者が職務として作った(職務著作・法人著作) | 法人(会社そのもの) |
| 外部の会社に委託して作らせた | 原則として作った側(受託者) |
会社の業務として社員が書いたプログラムは、原則として会社のものになります。ここで法人は著作権を譲り受けるのではなく、はじめから法人が著作者になります。したがって、譲渡できないはずの著作者人格権も法人に帰属します。
職務著作になる条件は、次のとおりです。
- 法人等の発意に基づいて作られたこと
- その法人等の業務に従事する者が作ったこと
- 職務上作成したものであること
- 法人等の名義で公表されること
- 契約や勤務規則に別段の定めがないこと
★プログラムだけは4番が要りません。★ プログラムの著作物については、法人名義で公表しなくても、残りの条件を満たせば法人が著作者になります。社内でだけ使うプログラムは公表されないので、この例外がないと成り立たないためです。IT分野の出題ではここが問われます。
一方、お金を払って外注したからといって、著作権が自動的に発注側に移るわけではありません。移すには、契約で著作権の譲渡を定める必要があります。
ここは「払った側のものになりそう」という直感と食い違うところです。試験では、その思い違いをそのまま選択肢にしてきます。「委託して開発させたソフトウェアの著作権は、委託した側に帰属する」と書かれていれば、契約に譲渡の定めがない限り誤りだと判断してください。
例外的に許されること
私的使用のための複製が代表例です。個人や家庭内で使うためなら複製できます。ただし条件があり、使う本人が複製することが前提です。会社の業務で使うための複製は、私的使用にはあたりません。コピー防止の仕組みを外して複製する場合や、違法に配信されていると知りながら行うダウンロードも、私的使用であっても認められません。
引用も認められていますが、こちらにも条件があります。
- すでに公表された著作物であること
- 公正な慣行に合致し、報道・批評・研究など引用の目的上、正当な範囲内であること
- 自分の文章が主で、引用部分が従であること
- どこからどこまでが引用か区別できること
- 出典を示すこと
条件を満たさずに他人の文章を載せれば、量が少なくても引用にはなりません。
覚え方:表現は守る、考え方は守らない
迷ったら、**「それは書かれたものか、頭の中の考え方か」**を見てください。
- 書かれたソースコード、文章、図、写真 … 表現 → 守られる
- アルゴリズム、言語、規約 … 考え方・決まりごと → 守られない
そのうえで、発生に登録は不要、人格権は譲渡できない、外注しても原則は受託者のもの、そして社員が職務で書いたプログラムは法人が著作者。この4つを足せば、出題される範囲はおおむね押さえられます。
試験ではこう出る
科目A(旧・午前)のストラテジ系(法務)で頻出です。ITパスポートから応用情報まで、区分を問わず出ます。多いのは、著作権法の保護対象を選ばせる問題(アルゴリズム・言語・規約が対象外)と、職務著作や委託開発で著作権が誰に帰属するかを問う問題です。産業財産権と並べて、発生のしかたの違いを判断させる形もあります。
引っかかりやすいのは、外部委託したプログラムの著作権です。原則は受託者側にあり、発注側に移すには契約が必要、という向きで覚えてください。もう1つ、著作者人格権は譲渡できないという点も繰り返し出ます。「著作権をすべて譲渡したので、発注側が自由に改変できる」といった記述は、人格権の扱いを飛ばしているので誤りです。
関連する用語
- 著作者人格権
- 公表・氏名表示・同一性保持に関する権利。著作者本人に残り、譲渡できない
- 職務著作(法人著作)
- 従業者が職務上つくったものは法人が著作者になる仕組み。プログラムは公表がなくても成立
- 産業財産権
- 特許権・実用新案権・意匠権・商標権。出願と登録が要る点が著作権と違う
- 不正競争防止法
- 営業秘密の持ち出しなどを規制する法律。著作物にあたらないものを守る場面がある
- 内部統制
- 業務が適正に行われることを組織自身が確保する仕組み。法令遵守もその目的の1つ
ミニクイズ
著作権法による保護の対象となるものはどれか。
正解は 2番:ソースコードとして記述されたプログラム
著作権法が守るのは、思想や感情を創作的に表現したものです。ソースコードは表現されたものなのでプログラムの著作物として保護されます。一方、アルゴリズム(解法)、プログラム言語、規約(プロトコルなど)の3つは、著作権法で明確に保護の対象外と定められています。考え方や決まりごとを1社が独占すると、誰も同じ目的のプログラムを書けなくなってしまうためです。アルゴリズムのような技術的なアイデアを守りたい場合は、著作権ではなく特許権の対象になり得ます。
最終更新:2026-09-20